規模拡大に伴う借入金額と金融資産のバランス

ワンルームマンション投資における規模拡大と借入は、資産成長の重要な戦略となり得ますが、その際には借入金額と手持ちの金融資産とのバランスを慎重に考慮することが不可欠です。 規模拡大に伴い借入金額が増加する傾向にありますが、金融機関は融資判断において、申請者の金融資産の状況を重視します。十分な金融資産(換金性の高い株式やREIT、現金預金など)を保有していることは、返済能力を示す強力な裏付けとなり、より有利な融資条件を引き出す可能性を高めます。これは、経済的な安定性を示すだけでなく、予期せぬ事態への対応力という観点からも重要です。 住宅購入においても、自己資金を頭金に充てるのではなく、フルローンやオーバーローンを活用し、手元に現金や金融資産を残すという考え方は、投資戦略においても有効です。手元資金を確保することで、突発的な修繕費や空室期間の収入減少といったリスクに対応できる柔軟性が生まれます。また、市場の状況に応じて新たな投資機会が現れた際に、迅速に対応できる可能性も高まります。 具体的に、手元に残す金融資産の目安としては、借入金額の10%以上、可能であれば15%から20%程度を維持することが望ましいと考えられます。この水準を確保することで、精神的な安定感にも繋がり、長期的な投資判断において冷静さを保つことができるでしょう(感情的な理由)。 私自身の経験からも、このバランスの重要性は明らかです。 2016年の自宅買い替え時には、約4000万円の借入に対し、金融資産を800万円(20%)確保していました。2017年にワンルームマンションを6戸購入した際には、借入が1億5000万円に対し金融資産は800万円と一時的にバランスが崩れましたが、自己資金の投入により実質10%を確保しました。その後も、追加購入や退職金の活用などを通じて金融資産の積み増しを図り、現在は借入金2億3500万円に対し金融資産3400万円(14.5%)となっています。将来的にはこの比率を20%まで引き上げることを目標としています。 このように、借入金の増加と金融資産の積み上げを並行して行うことで、リスクをコントロールしながら着実に資産規模を拡大していくことが、ワンルームマンション投資における重要な視点と言えるでしょう。