変遷するワンルーム投資: 低下傾向にある都内利回りと新たな投資戦略

2025年現在、私が拠点とする成田を含む日本全体、特に東京都23区内のワンルームマンション市場では、還元利回りが数年前と比較して低い水準で推移しています。これは、都心部における不動産価格の継続的な上昇と、依然として続く低金利環境が複合的に影響し、投資家が不動産投資に求める収益率が以前ほど高くなくても、投資を行うようになっているためと考えられます。具体的なデータを見ても、東京都23区内のワンルームマンションの表面利回りは、平均して3%台から4%台で推移している事例が多く、以前のような5%を超える高利回り物件を見つけるのは困難になっています。 この還元利回りの低下傾向は、過去5年程度の期間で見るとより明確になります。アベノミクス以降、都心部の不動産価格は上昇基調にあり、それに加えて金融緩和政策による低金利が長期化していることが、この傾向を加速させてきました。5年程前であれば、東京都23区内でも5%前後の還元利回りのワンルームマンションを購入することが比較的容易でしたが、現在では、そのような物件は市場にほとんど見られません。一部の不動産市場調査では、都心6区においては表面利回りが4%台前半まで低下しているという報告もあり、この傾向は今後も続く可能性が示唆されています。 このような市場環境の変化は、ワンルームマンション投資における戦略にも影響を与えています。従来の、高い賃料収入による安定的な収益を重視する投資戦略だけでは、十分なリターンを得ることが難しくなってきています。そのため、現在の低い利回りでの運用においては、賃料収入に加えて、将来的な不動産価格の上昇、つまりキャピタルゲインを視野に入れた投資戦略への転換も重要な選択肢となってきています。実際に、数年前に比較的高い利回りで都内のワンルームマンションを購入した投資家の中には、現在の市場価格で売却することで、賃料収入に加えて、購入時からの価格上昇による売却益や、その間のローン返済分の利益を手にすることができるケースも出てきています。